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眉を顰め、歩み寄って肩に手を置いた。
「ほら、哲太。……こんなとこで寝たら風邪ひくよ?」
「……」
すうすうと規則正しい寝息に合わせて、生え揃った柔らかな睫毛が微かに震えてる。
ふふ。
無防備男子だ。
きゅ、と締まった、艶のある唇。
さっき何度もあたしを……
ぶわわ、って上がった体温に焦って、慌てて頭を振った。
やだ。あたし……
酔ってる場合?
「哲太って……、!?」
言いかけながら、ふと視線をずらした。
座卓の上に、起動のままのラップトップパソコンが拡げられていた。
更にその脇に広げてあるのは、哲太のピンクの『交際手帳』。
その真ん中に両肘を重ね、頭を置いて熟睡してる哲太。
柔らかな栗色の前髪が少しだけ、手帳のページにかかって、広がってた。
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