#18 窮兎オオカミを噛む

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それから二週間が過ぎた。 「城英通信、号外ー!号外ですよーっ!」 金曜の朝の校門前で、新聞部の人たちが号外を配ってる。 登校して来た生徒たちがそれを受け取って、読んでは色めき立って騒いでる。 「はいどーぞ、号外ですよ!」 正門前に差し掛かったあたしに、黒縁メガネの新聞部くんが意気揚々と新聞を差し出して言った。 「城英男バス部、都立大会決勝進出!!我が校始まって以来の快挙だよ!」 「知ってます」 新聞掴んだ手を下げ、あたしはぽつって返した。 「決勝は明日1時から、中央スタジアム!」 「……それも知ってます」 ロートーンでまた言うと。 「オーイェイ!オフコースね!みんなで奇跡の瞬間を見届けにいこーっ!!」 ノリノリで言いながら右の拳を突き上げる新聞部くんに。 溜息が出た。
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