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「お疲れ百瀬君。どうだい?インターバル終わった?」
隣のマシンルームから、専属トレーナーの鮫島さんが足取り軽く駆けてきた。
「はい。今2クール目終わったとこっす」
タオルで首元を拭いつつ答えると、鮫島さんは目を丸くした。
「え!?2クール!?早いなあ……どれ、ちょっと膝見せて?」
「ああ、はい」
鮫島さんがベンチ横に跪き、俺は左膝を伸ばし示した。
巻かれたサポーターを取り、俺の膝蓋骨に触れた鮫島さんは、だはは、と声を上げて笑った。
「おいおい、グラグラじゃんか。いじめ過ぎだよ~百瀬君……あ、でも凄いなあ」
鮫島さんが無骨な指で俺の脹脛の外側を圧しながら、くしゃっと笑った。
「いやー、いい感じに仕上がってるよ……腓腹筋なんてちょっと怖いくらいガッチガチ。なるほど、これで多少の膝のグラつきもカバーできるわけだな」
「鮫島さん」
タオルを首から外し、俺は声を改めた。
「ん?」
「……今週末うちのチーム、都立のファイナルなんです」
鮫島さんは、ああ、と呟き笑った。
「聞いてるよ?亀井監督から」
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