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鮫島さんは立ち上がり、腰に手をやるとクスリと笑って話し出した。
「先週も亀井監督と飲みに行ってさ。凄い盛り上がってたよ。だけど次の決勝の相手は厳しいとかって?」
「……」
「今年に入ってまだ一度も勝ってないってぼやいてたよ。ははは」
「監督は愚痴っぽいすから」
返しながら再びサポーターを巻いて、そして俺は鮫島さんを見上げた。
「鮫島さん」
「お?」
「俺……」
ごくりと唾を飲み下し、眉間に力を入れる。
「出れないすか?」
「……」
「都立ファイナル。」
腰に当ててた腕をゆっくり戻し。
鮫島さんが顔つきを変えた。
「出たいの?」
胸の前で腕を組むと。
「……はい」
「そうか。ついに迷いを断ち切る気になったか」
「…… 」
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