#21 ちゃんとおしえて

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◇ その、夜。 『城英高校男子バスケ部 祝勝会』 という看板の掲げられた、炭火焼肉店。 そこの2階の座敷の半分を占拠して、あたし達は大変なことになっていた。 「ねえねえ、みはね先輩。男子って、お肉で酔っ払うんですね」 後輩マネージャーの優ちゃんが怯えた目をして、あたしの袖を引っ張りながら向こう側の席を指さした。 …… そっち見て、目を半開きに溜息を吐く。 馬上君がでっかい声で何かを歌いながらお箸振り回して踊ってて。 他の仲間たちもそれ見てゲラゲラ笑ってる。 全くもう。 あたしはお肉を口に放り込み、もごもごしながら答えた。 「そうねー。あいつらは優勝とかってよりもう、『肉』さえあれば幸せなのよ……」 「あ~、もお、やだみはね先輩ったら~!佐久先輩が聞いたら怒っちゃいますよ~?」 優ちゃんがトンと肩をぶつけてきて、うっ、って食べかけのタン塩をのどに詰まらせて、ケホケホなった。 ……せっかく忘れてたのに。 「あれ?そういえば。佐久先輩とモモ先輩、居ない……」 二つ分の空席を指さす優ちゃんにギクッとなったけど、 「あ、ああ。トイレじゃない?」 ってしれっと答えてみた。 「え、でも……戻ってくるの遅くないですか?お肉なくなっちゃいそうだし、私ちょっと探してこよかな」 よいしょって立ち上がりかける優ちゃんの袖を、慌てて引っ張って制した。 「あ、あ、いいよ優ちゃん、あたし行ってくる。手、洗いに行きたいから」
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