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文化祭が終わり、季節が晩秋へと移ろいはじめる。
リハトレ帰りのある晩、22時過ぎ。
俺は電話で佐久をカフェに呼び出した。
既に指定校推薦枠を確保し、校内推薦も難なくパスしていた佐久は、私服姿で眠い目をこすりながらのんびりとカフェに現れた。
「よお」
不機嫌そうにつぶやく佐久は、だるそうに俺の向かいに座った。
「悪いな。……こんな時間呼び出して」
俺は苦笑して詫びると、見計らって買っておいたカフェラテを佐久の前に差し出した。
「モモからのおごりとか。……気持ち悪っ」
うへ、と眉を顰め、それでもにやりとすると佐久はそれを一口すすった。
「別に電話でもよかったんだけど長くなりそうだったし…隣でみはが聞き耳立ててそうだから」
「なあ……それノロケか?」
眉間に縦皺を一本刻んだ佐久に、まあ聞けって、と嗜めてから。
俺は表情を引き締めた。
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