#7 想定外です。

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もう無理。 これ以上平静を保ってられない。 「いいよな?モモ」 悪い夢でも見てるみたいに、佐久田くんが凛と響く声で哲太に言う。 「俺、上杉と付き合っていいんだよな?」 その場にヘタリ込みそうになった時、目の前の哲太がお腹を折り曲げて笑いだした。 「くははは!……マジかこれ。どういう展開?もう笑うしかねーわ、俺」 「!」 「よかったじゃん、みは。佐久ちゃんと両思いでさ」 茫然自失のあたしに哲太はなおも。 「けど知らないぞ?佐久ちゃんは俺と違って真面目だけど、マジで手ェ早いから」 「おいモモ!嘘つくな」 アハハとまた高らかな笑いを残し、哲太はあたしと佐久田くんの間に肩を割って入ると、そのまま廊下の向こうを去って行く。 その後ろ姿が校舎の向こう側の渡り廊下に消えるまで、わずかに細めた目で追っかけたあと。 佐久田くんはゆっくりと、視線をあたしへ戻して。 そしてあの独特の大人びた甘い瞳で、照れるように微笑を返した。
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