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この番号で合っているのか不安もある。間違いや詐欺だった場合、私のこのサイトを退会する他無い。
厭、正しくても私はこのサイトを退会する積もりだった。
リョナと逢ってしまえば他のユーザーなぞに興味は無い。サイトを続行する事に何の意味も無い。
数コールの後、スマホから「はい」と女の声がした。今時の女子高生らしい声だ。
彼女がリョナなのか?
「こ、今晩は、百合館のリリー、ですけど、判るかな?」
不安と猜疑の中、恐る恐る自己紹介をする。
「百合館のリリー? ああ、電話くれたんだ、本当に電話掛かってくるなんて信じらんない!」
私も信じられない。一回目で本物のリョナと繋がるなんて奇跡としか思え無い。
逸る気持ちを何とか抑えながら、リョナと逢う約束を取り付けようと、先ずは地元の話題から入る。
百合館ではローカルな話題はペナルティーの対象になるから話せ無かったが、
「リョナってさ、呉のどの辺りに棲んでるの?」
そう訊ねてみると、意外な返答が来た。
「あのさ、お互い広島県県人じゃけさ、広島弁で話さん? 標準語は堅苦しくてさ」
リョナの方から歩みよってくれた。百合館では淑女ぶって標準語で話していたが、確かに窮屈と言うか不憫さを感じていた。
「勿論よね。やっぱり広島弁話せるんがおると気が楽になるわ」
「じゃろ? ウチ南区に棲んじょるんよ、りりっぺは?」
りりっぺ? 広島弁に続いて私の事を早速ニックネームで呼んでくれるなんて。流石サービス精神旺盛な広島県人だ。
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