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「ねぇ、私これ使い方慣れんのじゃが、どうすりゃええの?」
リョナが布団の中で私に囁く。
「どうって指を上下左右…じゃないん? うちも初めてじゃが」
「上下…左右…」
「あ、ちょっと! それ遣りすぎじゃって、もうちょい優しゅうにやってえや、壊れるじゃんか」
リョナも使い方になれない為か指使いが乱暴だ。
「判った。優しゅうに」
「あ。うん。そう。ええよええよ。ええ感じ」
次第に指使いが滑らかになってくる。まるでシルクで拭き取るようにとても滑らかでうっとりする。
「あのさ、思ったんじゃが」
リョナはふと指を放す。
「何?」
「これ、グリグリってやったらどうなるんじゃろうね? 泡立て器みたくこうグリグリッ…と」
そんな事をしたら本気で壊れるに決まっているし、それこそ責任問題だ。
「やめんさいや。私どうなっても知らんよ」
「ええわいね、感度はええんじゃけグリグリした位じゃ壊れはせんわいね」
クスクスと悪戯っぽい笑みを浮かべながら、リョナは指を 近づける。
「あ、あ、ちょっと、やめんさ…」
必死でリョナを止めようとしたその刹那の事。部屋の扉が勢いよく開いた。
「あんたら二人して何やっとんね」
お母様だ。
ごめんなさい、リョナがスマホの使い方が判らないと言うから、それらしく教えようとしたんだけれど、どうやら起こしてしまったようだ。
23時のシンデレラ―了―
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