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「もうあまり時間が残されていないし、先輩には推理する気力も無いみたいですしもう良いですよ。」
十叶内は何かに憤慨している。
殺人の現行犯を犯しておいて何様なのか貴様は。
「下手人、どういう事なんだ…お前そんな奴じゃないだろう?」
「そういう奴だったんだよ!
説明してやるからよく聞け悪音君!」
十叶内下手人は再度栗見鳴舞の遺体に蹴りを入れて叫ぶと、説明に移った。
「全ての元凶はこの女だったんだ。栗見鳴舞はシテイル学園の一年生女子達を洗脳し、三須先輩を間接的に殺害を企てていた。」
「なるほど、こいつだったのか。」
そう言えば彼女は会うたびに「私は今作の黒幕ですよ。」とか言ってた気がする。
あれはハッタリではなかった訳だ。
「洗脳!馬鹿な…そんな事が一介の高校生に出来る訳が無い!」
途端に否定に出た暮荒知悪音だったが、
「幸福実行委員会というのを君は知っているかい?」
「ああ、何か怪しい宗教だろ?それが今何かに関係が…?」
「あれは只の金集めが目的の詐偽集団だが、その手段である布教活動人の手腕は本物だ。
つまり相手を本気にさせ、意のままに行動させる話術。
来世は地獄だよと恐怖を煽り、献金せよと命じれば信者は金を払うし、
君の幸福の為にはまず、あいつが邪魔なんだと仄めかせば刺殺にも至る。」
「何を!?見てきた様に!」
「見てきたのさ。」
「お前…そう言や家に幸福実行委員会の布教冊子が置いてあったな!気持ち悪くて俺は読んで無いが、
あれお前のだったのかよ下手人!」
「そうさ。人は弱い。
犯した罪に苛まれ、
どうにか逃げ仰せてきたけれど、心の奥底では罰されたいと思っていたのだ。
僕を裁き、救いたもう主を求めていたんだよ!」
「何言ってんだ、お前のは冤罪だろ!たまたま事件現場に居合わせて、挙動不審で状況証拠にピッタリ当てはまるせいでいつも犯人扱いされているだけだろうが!?」
「冤罪体質!?はっ、馬鹿な!
そんな悲劇のヒロインみたいな高校生がこの世に居るわけ無いだろう!だったらその女に聞いてみろよ!」
十叶内は暮荒知不知火を睨む。
「しっ、知らないっ!」
不知火は顔を反らして全力で拒絶した。
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