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「電車に乗れば痴漢をし、クソアマに出会えば犯して殺す。
それが本当の僕だ!」
十叶内下手人は舌を出し、下卑た笑を発露した。
「そんな…!嘘だろ!?下手人!」
「悪音くん、だから何時も言っているだろう?事件現場で居合わせた時、
逆に訊こう、僕が犯人じゃない証拠でも有るのかい!?
とね!」
言っていた。
確かに言っていた。
あれは覚えてもらう為のキャラ付けなどでは決して無く、希をてらったジョークでも何でも無く。
十叶内下手人は冤罪体質では無く犯罪体質なのだ。
咎無き下手人どころか咎有る下手人。
それが奴の、正体だったのだ。
「その女は本当に運悪く僕の事件現場に居合わせてくれた。
一部始終を見ていてくれた!
幸運にも…!」
「し、ししし知らない!知らない知らない!知らない!」
暮荒知不知火は拒絶する。
「本当に、都合の良い女だったよ!!僕の犯した犯罪を見てみぬふりして、
あまつさえ隠ぺいまで手伝ってくれたのだからね!」
十叶内は不知火の頭を掴み、髪を引っ張る。
「痛い!痛い!」
「先日、犯罪心理学研究会の一員の唐船聖鹿の入院している病院に行って寝ている彼女を刺し殺した。
その事件も君が隠ぺいしたんだ!」
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