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「八五郎と言ったな。余はお主が気に入ったぞ!金子を計らってやる。それからお主は侍になれ。明日からそのメカ馬に乗って城へ参れ。
はっ、お有り難きお言葉存じ奉る!このお八五郎、殿の為誠心誠意尽くし馳せ参じござりたてまつりましょう!
馬よ、この者は何と申した?
ガッテンショウチノスケ!」
察仁亭三水は二役三役とコロコロ役を変え、痛快に演じる。
落語は言葉の芸であると同時に仕草の芸でもある。
のべつまくなしに喋りたくるのでは無く、間の取り方なども一つの技である。
高度なテクニックを用いたかと思いきや、突如すっとんきょうな声を出して変顔をしたりする反則技まで使ってくるのでこの辺はCDではちょっと解りにくい。
って言うか俺はどうしてこんなに語ってしまっているのだ。
知りもしない、興味も持てない落語に関して。
そう言えばいつしか知り合いの殺人鬼が言ってた気がする、
このシリーズは殺人犯や幼少期にトラウマこじらせた犯罪者予備軍が落語に感化され人としての心を取り戻して行く物語だとなんだとか。
馬鹿な。
あり得ない。
落語なんかにそんな事が
俺なんかが落語で
今さら心が動く訳が無い。
ふと、舞台に頭を戻すと武家に取り立てられた八五郎がメカ馬に股がり城下を駈ける場面だった。
平賀源内が作りし決して散らない鉄の馬。
長屋の友人達が声をかける
「おい、そこに行くのは八五郎じゃねぇだか!おめぇどこに行くだ!?
そうだ、俺は八五郎だ。
いいか、俺は止まらねぇからよ。
だからよぉ
おめぇら
止まるんじゃねぇぞ…!!」
「え、ちょ…」
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