栗見鳴舞殺人事件

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察仁亭三水は深々と頭を下げ、舞台を降りた。 やりきった男の顔だった。 高校生活最後のネタを終え、彼は舞台を降りた。 去り行く彼は誰を探してか少し顔を降ったが、 果たして俺と目があった。 合った気がする。 目的の人物はこの三須照彦だったのだろうか? いや、俺の思い過ごしか。 「凄かったね、」 俺の前で見ていた言成くんが振り向きざまに感想を漏らす。 かなり興奮しているご様子だ。 「サゲが意味不明だったがな。まさかの考えオチとは…」 斬新、と言うか所々謎だった。 そもそもどうして卒業式の日にあの噺を選んだのだろうか? 確かに察仁亭一門にとって妾馬は特別な噺だとは聞かされているが、大きく改編してSFチックにしているし、ロボット開発までして平賀源内先生が便利キャラ過ぎる。 「お気に召さなかったかな?」 「何でお前が聞いてくるん?」 正直お気に召した。 俺はストーリーがイマイチでもマシンヴォイスで喋るキャラが居たら喜ぶので、 機械を一切使わずして地声でロボ声に極めて近いヴォイスが出せる察仁亭三水君を心から尊敬した。 「今のネタ、僕が書いたの。 三水さんの依頼で。」 「え!?お前そんなゴーストライターみたいな事出来んの!?」 「お客様がお望みならば どんな文章でも代筆致します。 ね、つまんなかった?」 「いや、一周回って面白かったよ!」 やや噺家っぽく無いと言うか察仁亭三水っぽくないシナリオ構成だと感じたのはそういう事だったのか。
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