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「何で……?」
焦って、呼吸をするのを忘れていたらしい。急に喋ったら、けふ、と軽く咳き込んでしまった。
「苦しそうな顔も嫌いじゃないが。いのりも感じてるところが、見たい」
彼は僕の下唇に、人差し指を当てた。
「口開けて?」
上目で彼を見上げたまま、唇を開く。
「舌、出して」
言われた通りにすると、従順な犬みたいになってしまう。
とても、恥ずかしい。
「舐めて」
ぺろっと舌を這わせ、彼を見る。欲情に満ちた、獣のような視線に晒されて。
つい、僕は目を閉じてしまった。
「だめ。目、開けて」
首を振り、ぎゅっと目を瞑ると。
「いのり。……開けろ」
王様は、甘く、色気を滲ませた声で僕に命じた。
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