第1章

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昨夜。 洗面所の鏡に写した顔は… あの時の麻美の顔だった。 襲われて殴られて、 顔中が腫れて、 鏡を見るのが怖いと言った…あの時。 眼の周りは覆い被るように腫れが眼の上に乗っかって、 視界も狭くなって。 忌々しい記憶 冷蔵庫から氷を出して、 ビニールに包んで冷やす。 ちょっと当たるだけで体中に衝撃が走るような重い痛み こんな思いをしたんだな…麻美も。 頭も痛くて… 眠れないし… ただ、 布団を首までかけて、天井を睨んでた。 明るくなって少しだけウトウトしたけど、 でも、 動くとどこかしらに痛みを感じてすぐに目を覚まして。 ずっと、 なんと話そうか…考えてた。 でも、 頭の中は整理するどころか、よけいにグチャグチャで、 話すとまた、 あの息もできない苦しみに襲われてしまいそうで… 10分… そのくらいだったかな。よくわからない。 茶ぐらいって言っても何もない部屋。 散らかってはいないけど、 ほんと、 部屋では水道水を飲むくらいだ。 そんな風に考えてると、 チャイムが鳴った… 「連絡をしなくて、 すみませんでした…」
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