第1章

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「ハクとセキは久々に2人で模擬戦やってみろ」 次々に組み合わせが発表される中、ハクとセキの名前が呼ばれる。 この瞬間、残されていた生徒はホッとしたような表情を作り、ハクとセキはお互いの顔を見合わせる。 「あちゃーハクとかよ。こりゃ今日はしんどいなー」 「それはこっちの台詞ですよ」 口調とは裏腹にセキの表情はどこか嬉しそうな、それでいて緊張感を漂わせている。 反対にハクはというと、相変わらず笑みを浮かべたまま答えた。 だが、組み合わせが決まったからといってすぐ模擬戦が始まるわけもなく、とりあえず2人は普段通りに先に行われる模擬戦を観戦し始めた。 ステージ上には、2人のクラスメイトが対面で立っており、教師が模擬戦開始を告げるとお互いに距離を詰めて戦闘が開始される。 魔法使いの戦いとしてはいささか近すぎるように思えるが、接近戦も大事なのである。 相手に大きなダメージを与えるような魔法を瞬時に放つことは難しく、学生レベルでは少しの時間が必要になる。 そうなると一対一の模擬戦で大きな魔法を使うことは難しく、その隙を与えないためにも接近戦で魔力を練る間を与えないのだ。 「やっぱ身体強化した接近戦は見応えあるよなー」 観戦しているセキが呟いたように、2人の生徒は身体強化という魔法を使っている。 身体強化とは、体に魔力を循環させることで身体能力を向上させることができる魔法であり、基礎魔法の1つである。 もっとも簡単な魔法の1つである身体強化だが、その幅は割と広く、強化される強さも術者によって差がある。
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