魔法

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光を感じ、目を開けるとそこは白だった。 前も後ろも右も左も上も下も斜め前も斜め後ろも斜め上も斜め下も全て白。 気が狂いそうな程の白、だが柔らかい、柔軟剤も使ってるのか… 『いっそのこと気が狂ってしまえば楽なのかもしれんな』 聞き慣れない、高音と低音が重なるような声に振り向くと、子供のような老人のような、人のような獣のような、筋肉のような骨のような、理解の範疇を越えたナニかが立っていた。 「駄目だこれあかんやつや、はよ目ぇさまさんと」 脱法ハーブをやった覚えは無いんだけど、強いて言えば脳内麻薬程度なんだけど。 『理解出来ないとは理解する事から逃げたものが使う言葉だと私は思うがね』 なんだこの上から俺様目線。 「理解する事から逃げたんでさっさと貴方がなんなのか教えてくださーい」 一息かつ棒読みで言い切る。 理解したいとも思わない。 『俺は君らが神と崇め、悪魔と嘆き、天災と呼ぶモノ』 『僕の方がお前に聞きたい』 『貴様はナンダ』 なるほど、神か。 「へー神なんて居たんだー、そしてボクはボクさ!それ以外の何モノでも無いよ!」 それとも霊長類ヒト科ヒト属ホモサピエンスと言えば良いのか。 それで満足かい?どうせヒトの思考をいやらしく覗き込んでるんだろう? 『普通の『ヒト』ならば我は思考を完璧にのぞく事が出来るが』 『余には貴様の全てを覗く事が出来ない』 『朕は貴様が『ナニ』なのかも解らぬ』 『ただ解るのは、『お前が理から外れ、貴方が理を乱すナニか』だと言う事だけ』 ただでさえキャパオーバーだと言うのにさらに詰め込もうってか。
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