鍛錬弐

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彼女は何なのだろう。 姿はヒトにも関わらず、龍と会話し、あげくの果てには再生力の強い魔物のように体を再構築し直す。 まるでヒト以外の何かとしか思えない。 あれがヒトなのだとしたら戦争でヒトは死にはしないし、むしろ戦争が起きる事すら無い。 なんせ、無駄な事なのだから。 ヒトが減らなければ領地を得るために進軍する事も出来ないし、よっぽど無能でも無ければ砦を落とされる事も無いだろう。 撃退する事も出来ないだろうけど。 要するに、ヒトは死ぬ。 四肢の4分の3が吹き飛べば確実にショック死をするだろうし、本来なら泣き叫んでもおかしくないのに彼女は悲鳴のひの字も出さなかった。 痛みが無いんだろうか? その割には此処に来る途中見失う前、足の健が切れたと思われる時は偉く痛がって居たような気がする。 彼女がなんなのか解らない。 敵なのか、味方なのか。 それとも交わる事も無い存在なのか。 だから私は知りたい。 彼女の事を。 -木陰に在った一対の瞳はいつの間にか消えて居た-
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