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「何故、100年も早く生まれてしまったのか、私にも分からぬ」
「…時の精霊様でも、ですか…?」
魚人は恐る恐るだったが、はっきりとした口調で男を見上げた。
「どういうことだ?」
状況がいまいち飲み込めないオレに気がつくと、男は少し微笑んで説明してくれた。
「そなたの母は神の子孫。私たち精霊と契約をすることができる。そなたの母は、生まれたばかりのそなたを200年後にもう一度生まれさせようとしたのだ」
意味が分からなかった。
捨て子だったことは知っていたが、母親が100年前の神の子孫だなんて、理解に苦しむ。
あ、こいつオレを騙すつもりだな。
「私は時の精霊。その名のとおり時を司る。この名に賭けて失敗などしてはいない」
失敗してんじゃん。
てか、ややこしすぎて、どこから怪しいのか分からなくなった。
「…魔王様…ですかね?」
今まで黙っていた魚人が呟く。
「奴にそこまでの力があったとは思えない。ただ、親として望んだのかもしれないな」
抽象的な言い方に魚人とオレは首を傾げる。
「実は今から100年後…リュイ、そなたが生まれる予定だった時には、もう魔族は絶滅しているのだ」
えー!?
魔王の息子が魔族が絶滅した時代に生まれる…。
いやいや、どうなの?それ。
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