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人間は弱小魔族なんて怖くない。
だから、人間にイジメられる魔族はよくあることだった。
イジメられるならまだしも、奴隷や家畜同然に扱う人間が増えていた。
「城下町ってどこのだよ」
「どこって、山の向こうの大陸一のアストラル城下町っす!」
…え。山越えるの?
「…はあ」
オレのため息に魚人は慌てだす。
「ど…どうしたんすか?」
「…どうやって行くんだよ」
魚人はポンっと手を叩く。
「いやマジ、パネェっす!」
気づかなかっただけだろ。
わしゃわしゃ掻く頭(?)から鱗が落ちる。
「山越えるだけの金ないだろ?」
そう言うと、人間の兵士がやってきた。
「今月こそ家賃を払っていただきたい」
家賃?
「い…いや、もう少し待ってくださいよ~」
魚人が兵士の腕を掴んで懇願するも、呆気なく振りほどかれる。
「もう、半年待った。アストラル王からも書状が出ている」
兵士が差し出した紙を魚人と覗き込む。
『そこワシの別荘なんだよね。賃貸料一億ジェム払えないなら出てってね』
はあ!?
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