幕間①

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暗い闇の中に、歪な木々が浮かび上がる。 ねじくれて、ぐちゃぐちゃと絡まりあって、もとは一つの塊のように生い茂っていた木々が、今はどれも半ばあたりからずたずたに切り裂かれている。 まるで巨人に踏み荒らされたような惨状。 僕はそんな森の残骸の中を歩いていた。 血と砂にまみれた足を引きずるようにして。 出口が遠い。 ーー君はもう戻れないよ。 耳元で囁く声がある。 ーーずっとずっと戻れない。君はずううううっと歩き続けても、もとの場所には帰れないんだよ。 耳にこびりつくようにして、何かの声が流れ込んでくる。 聞こえない、聞こえない、聞こえない。 僕は取り合わず、歩き続ける。 やがて、ここからの出口を見つけた。 それは格子状の柵だった。人の敵をある場所に閉じ込めるための、柵。 ああ、やっぱり。出られないなんて嘘じゃないか。 僕はわずかに安堵し、柵を登ろうと手をかける。 そして、柵に触れた指先が、先端からどろどろになって溶けだした。 驚いて手を引くと、指先だけがずるりと手から抜けて柵に引っかかる。 もう柵には触れていないのに、腕まで溶け始めている。 「……どうして」 ーーだから言ったじゃないか。 耳元で声。 ーー人以外がその柵に触れれば、柵の呪いによって消されてしまう。ほら、今の君みたいに。 僕は自分の体を見下ろした。溶けて、消えて、気づけばもう腕は残っていなかった。 どうして。 だって僕は。 声は囁き続ける。いっそあざけるように、嗤うように、甲高い声で。 ーーどうして、だって! そんなの決まってるじゃないか! 僕の心を殺すように、告げる。 ーーだって君は、とっくにーー
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