アンノウン

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2080年 日本 高城市 アンチ重力分子の発見により、 車が空を飛び、 自転車が空を飛び、 そして、人が空を飛ぶことが当たり前になったこの時代に、 私はまるで、古いアニメのベッタベタなヒロインのように、 学校までの道のりを全力で走っていた。 「ヤバい、ヤバい! これじゃあ遅刻だ! 新学期早々遅刻はまずいって! 夏休み気分が抜けてないとかいわれるのが目に見えてるって!」 学校の校則でアンチ重力バイクやアンチ重力シューズを使ってはいけないなんて 別にそんなわけではない。 寧ろ使っていない学生なんてほとんどいないくらいだ。 アンチ重力カーとなると、流石に未成年では乗れないが、 バイクは平均時速60キロ、 シューズは平均時速30キロまで出るため、 その利便さを買って多数の学生が空を飛びまわっている。 また、身長制限と体重制限さえ守っていれば 免許なしで誰でも乗ることが出来るという 使い勝手の良さもあるだろう。 話は逸れたが、 私がアンチ重力シリーズを持っていないからというわけでもない。 どちらも、そんなに安いものではないが、 シューズは10歳の誕生日に、 バイクは去年の冬に、親が買ってくれた。 それならば、私はなぜ汗水たらしてこんなにも必死に走っているのだろうか。
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