アンノウン

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「あー、もう! なんでワイヤレスオート充電器壊れてるかなー。 一度にたくさん充電できるのはいいけど、 壊れてたら全部充電できなくなるなんて、 そんなの聞いてないよー! ちゃんと日本製のやつ買ったのにー。 世界ダントツ一位の先進国に成長したんじゃなかったんですかー!? しっかりしてよー、にっぽん!」 私は成すすべなく空を見上げる。 空にはまるで、集団移動する渡り鳥の群れのように、 アンチ重力カー、アンチ重力バイクが飛び回っていた。 「おいおい、見ろよあいつ。 地面を走ってるぜ。」 「きっとビンボーなんだろ。 アンチ重力バイクもアンチ重力シューズも買ってもらえないほどに。」 声のする方へ振り向くと、 二人の小学生くらいの男の子が二人、 ニヤニヤした顔つきでこちらを見ていた。 もちろん、彼らもアンチ重力シューズにより、 上空にいる。 それならば、見ていた、 というよりは、見下していた、と言った方が正しいだろうか。 「…無視無視。 それよりももう少しで学校につく、 この調子なら間に合うかも。」 私は走るペースを上げた。 念のために言っておくが、 私がここで走るペースを上げたのは、 学校へ少しでも早く着きたかったからであり、 これ以上、彼らの悪口を聞いていたら、 はらわたが煮えくり返りそうになるからとか、 そう言う類の話では決してない。 「お、あいつ、ちょっと早くなったぞ。 それでも、まぁ、こっちの方が断然早いけど。」 「それより見ろよ、あいつの走り方。 生まれたての小鹿みたい。 いや、生まれたての小鹿よりも走るの下手くそなんじゃねーの?」
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