不信と不安の中で-2

9/30
前へ
/30ページ
次へ
杉崎君の激昂とは対照的に、愛理ちゃんは静かに言い返す。 「ごめんなさい、もう気持ちは変わらないの。だから別れて下さい」 目を伏せた愛理ちゃんは睫毛を涙で光らせ、しおらしい風情。 私の憤慨は今にも爆発しそうだった。 ――イイ子ぶらないでよ! 別れ話なんだから本音で話してよ! でなきゃ、杉崎君も私も納得できない! テーブルの下で私の拳が震えた。 杉崎君が必死に詰め寄る。 「どうして急に釣り合わないと思ったの? 俺、そんな理由じゃ納得できないよ」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加