プリンセスの毒

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夏雄君と交際し始めて、二週間ほど過ぎた5月下旬――。 その日は夕方になってもかなり暑く、夏の訪れを感じていた。 最近夕方になると、必ず愛理ちゃんが三階へ現れる。 自分の業務を終えたあと、設計部の仕事を教わるために。 愛理ちゃんには富川さんが付きっ切り。 どうしても富川さんが忙しい時は、田中部長が教えていた。 「優衣さんにお話があるんですけど、近いうちに時間作ってもらえませんか?」 愛理ちゃんに声をかけられたのは、たまたま男性陣がみんなトイレや喫煙所などに行っている最中。 フロアに二人だけの時だった。
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