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杉崎君は言葉に詰まり、その先を話そうとしない。
社長が心配そうに声をかける。
「どうした杉崎？ うちの会社は大企業と違って、みんな家族みたいなモンだ。遠慮なく本音で言ってみろ」
社長に言われ、杉崎君の顔が引き締まる。
そして意を決したように話し始めた。
「俺は正直、複雑な気持ちです。もちろん一社員としては、愛理ちゃんの異動は賛成です。理由も田中部長たちと同じです。でも俺は……こんなこと言っていいのか、分かんないんですけど……」
ためらう杉崎君を社長が促す。
「遠慮するなと言っただろ？ うちみたいにちっぽけな会社は、建前で話し合ったって意味ない、と私は思ってる。一人一人が気持ち良く協力し合って働けなきゃ、成功なんて望めない」
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