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杉崎君は唇を噛みしめ俯いている。
その表情は涙をこらえているように見えた。
席に戻った社長は、とうとう私に目を向けた。
私の意見を聞かれるんだ……!
心に大きな緊張が走り、鼓動が高鳴っていく。
「樺山さんの意見も聞かせて欲しい。愛理ちゃんの異動について、どう思う?」
案の定、社長の言葉は私に放たれた。
本心――それこそ個人的な感情で答えられるなら、異動には反対したい。
だけど私には、会議で私情を話せる度胸など無い……。
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