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すぐ隣に、手を伸ばせば届くのに、私は何も出来ない。
潤也の顔を見ることさえ出来ずにいた。
運転手も無言のまま、静かに通りを走り続けたタクシーは、私のアパート近くで停まる。
ドアが開き、潤也が料金を払って先に降りた。
続いて降りる私の心に、どこか期待する気持ちがあった。
少しだけ、ほんの30分だけでも、潤也が部屋に寄ってくれることを。
このまま潤也と離れるのが名残り惜しかった。
潤也の傍にいたい気持ちが強くなっていたのだ。
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