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具体的に聞いても良いのか迷いが生じる。
潤也も私と同じ心境なのか、なかなか口を開かない。
沈黙が辛くなった私は、直接的な質問を避け、やんわりと回りから攻めた。
「どうして愛理ちゃんは、そんな個人的なことを夏雄君に話したのかな……」
「俺も気になる。夏雄と愛理ちゃんが二人で話したのって、その日が初めてだろ? 家庭の事情とか、そういう深い話って、すぐ打ち明けるか?」
私たちがぶつけた疑問に、夏雄君はゆっくりと慎重に答える。
「会話の自然な流れで、そうなったんです。二人で飲んだのは初めてだけど、凄く気が合ったし……。俺を信頼してくれたんだと思います」
穏やかな口調だが、夏雄君の表情には芯の強さが滲み出ていた。
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