心を開くとき

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私たちは雨に濡れるのを少しでも避けるように、手を頭に当てながら小走りする。 遠くで聴こえる雷の音。 私は愛理ちゃんの後ろを付いて行った。 公園を抜け、住宅が建ち並ぶ細い道を数分ほど走ると、二階建ての白いアパートが見えた。 白と言っても真っ白には程遠く、薄汚れた古い建物。 「ここです」 愛理ちゃんは振り向いて告げ、一階の一番奥へと進む。 107号室。 表札には小さな字で、名字だけ書かれていた。
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