心を開くとき

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「でも、夏雄さんのことも、今は好きじゃないんですよね?」 「もう当分、恋愛はいいかなって気もするの……。この数ヶ月で5年分くらいの喜怒哀楽を味わったし。私には濃すぎる時間だった」 「恋愛なんかしなくても、生きていけますもんね」 「そうね」 私は同意しながら、心の奥では切なさを感じた。 愛理ちゃんの言葉も強がりなのだろうか? それとも愛理ちゃんは、恋なんか不要だと本心から思っているの? 隣の部屋から流れてくる哀しげなメロディが、この部屋を包む。
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