Hug.1
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「ひとりで立てる」 伊織の手を取らず立ち上が り、気まずさを誤魔化すよう に眼鏡を押し上げた。伊織は 無駄に終わった手をゆっくり と握り締め、心なしか寂しそ うに眉尻を下げる。 やめてほしい。そんな顔を されると罪悪感を抱いてしま う。 「……香ちゃん」 「何度も言ってるだろ、その 呼び方はやめ――」
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