Hug.1
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問答無用で手を掴み動こう としない伊織を引っ張って歩 き出す。 「香ちゃん、手……」 「伊織はなるべく上向いてて」 「……わかった」 握った手を強く握り返して きた伊織を、僕はなぜか振り 返ることが出来なかった。た だ、焦っていつもより速く歩 くせいか、頬が熱くなったよ うな気がする――
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