Hug.2

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   「なんだよ……どさくさに紛  れて呼び捨てにしてたし」   何が起きたかよくわからな  かった。頭が上手く働かなく  て適当な相槌を打ったような  気がするけど、伊織がいなく  なったおかげで静寂が戻って  きた。   僕はノートに向かって文字  を書く……静かだ。静か過ぎ  て耳が痛いぐらいに。   眼鏡のツルにかかる横髪を  掻き上げると指に耳が当たっ  た。伊織の熱が残っているは  ずはないのに、そこはまだ熱  かった――
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