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「なんだよ……どさくさに紛
れて呼び捨てにしてたし」
何が起きたかよくわからな
かった。頭が上手く働かなく
て適当な相槌を打ったような
気がするけど、伊織がいなく
なったおかげで静寂が戻って
きた。
僕はノートに向かって文字
を書く……静かだ。静か過ぎ
て耳が痛いぐらいに。
眼鏡のツルにかかる横髪を
掻き上げると指に耳が当たっ
た。伊織の熱が残っているは
ずはないのに、そこはまだ熱
かった――
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