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隣で優里亜が面白そうに笑う中、ふと道路の方へと視線を送ると、目の当たりにした状況にギョッとしてしまい、思わず足が止まってしまった。
「……どうしたの?美鈴」
「どうしたのっって……」
キョトンとしながらも足を止め、私を見つめる優里亜にまたギョッとしてしまった。
信じられない。優里亜ってばあの状況を見てなんとも思わないわけ!?
さっきから何度も見てしまっている光景。
それは道路の真ん中に大の字になって寝そべっているうちの高校の制服を着た男子生徒の姿だ。
ちょっとちょっと朝っぱらからあの人、一体なにしちゃっているわけ!?
いくらこの道路、あまり車が通らないっていってもさすがに朝は頻繁に車が通るのに!
それにしても――……。
周囲を見渡せば優里亜同様、全く彼の存在に気付いていないかのように、普通に通り過ぎていく。この光景が不思議で仕方なかった。
普通なにかしら反応を見せるものでしょ?なのに――。
「ちょっと美鈴、いい加減早く学校行こうよ」
「……っ!でも!」
その時、聞こえてきたのは車が近づいてくる音。
すぐに振り返ると、遠くから車が近づいてきているのが見える。
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