第一話 『どうして私にしか見えないの!?』

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なのに彼ってばいまだに呑気に道路に寝そべったまま。 「……っもう!!」 「え……あっ!ちょっと美鈴!?」 みんな同様、見て見ないフリをしようと思えばできる。 でもできないよ。 目の前で人がひかれそうになっているのに! どんな理由があってあぁしているのか分からないけれど、命を粗末にするなんて許せないし!! 全力疾走で道路に飛び出し、車が近づいている中、急いで彼の元へと向かう。 するとけたたましいクラクションの音が聞こえてきた。 も~!!なんで逃げないのよ!! 「ちょっと!!」 「え――」 私の声に驚く彼。 だけどそんな彼の反応には目もくれず、一目散に彼の腕を掴み道路脇へと急いだ。 「美鈴っ!!」 優里亜の声が聞こえた瞬間、勢いそのままに反対側の歩道へとダイブする。 「痛っ……」 全身に襲ってきた痛みに耐えつつも、すぐに睨みつけてしまうのは例の彼――。 私に腕を掴まれたままの彼は、私と同じように歩道にダイブしたままポカンとしている。 あまりに呑気に口を開けてボケっとしているものだから、つい怒りが爆発してしまった。 「ちょっとあんた!!そんなに死にたいなら、もっと一目のつかないところで死になさいよね!!」
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