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なのに彼ってばいまだに呑気に道路に寝そべったまま。
「……っもう!!」
「え……あっ!ちょっと美鈴!?」
みんな同様、見て見ないフリをしようと思えばできる。
でもできないよ。
目の前で人がひかれそうになっているのに!
どんな理由があってあぁしているのか分からないけれど、命を粗末にするなんて許せないし!!
全力疾走で道路に飛び出し、車が近づいている中、急いで彼の元へと向かう。
するとけたたましいクラクションの音が聞こえてきた。
も~!!なんで逃げないのよ!!
「ちょっと!!」
「え――」
私の声に驚く彼。
だけどそんな彼の反応には目もくれず、一目散に彼の腕を掴み道路脇へと急いだ。
「美鈴っ!!」
優里亜の声が聞こえた瞬間、勢いそのままに反対側の歩道へとダイブする。
「痛っ……」
全身に襲ってきた痛みに耐えつつも、すぐに睨みつけてしまうのは例の彼――。
私に腕を掴まれたままの彼は、私と同じように歩道にダイブしたままポカンとしている。
あまりに呑気に口を開けてボケっとしているものだから、つい怒りが爆発してしまった。
「ちょっとあんた!!そんなに死にたいなら、もっと一目のつかないところで死になさいよね!!」
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