第一話 『どうして私にしか見えないの!?』

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彼の瞳は、どこかミステリアスな部分を含んでいて、なぜか目を逸らせなくなる。 どんどんと近づく彼との距離に、なぜかドキドキと高鳴り出す胸。 恐怖からなのか、ときめきからなのかよく分からないドキドキが混ざり合う中、彼は色気のある声を漏らした。 「ごめん。……取り敢えず実行させてもらうから」 「え……実行?」 意味が分からず首を傾げた瞬間、突然唇に触れたのは彼の唇――。 初めて感じる温かな感触に、目を見開いてしまった。 少しの間触れていた唇はゆっくりと離れていくものの、私は瞬きさえすることが出来ずにいた。 えっと……いまこの人、間違いなく私にキスをした、よね? 混乱する頭をどうにかフル回転させるものの、思考が追い付かない。 なのに当の本人は、また意味不明なことを言い出した。 「……あ。思い出した。俺の名前……」 「……は?」 名前!? 「すっげ。……あんたとキスすると、本当に記憶が蘇る!!」 「はぁ!?」 とことん意味が分からない。 この人、本当に頭がおかしいのかもしれない。 「そっそれより!!なにしてくれちゃっているのよっ!いっ、今キッ、キスを......!!」 次の瞬間、さっきまでの情事がフラッシュバックされ、ボンッと音を立てるように顔が熱くなる。
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