第一話 『どうして私にしか見えないの!?』

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そうだよ。 いくら不意打ちだったとはいえ、私は間違いなく今、目の前にいる彼にキスをされてしまったのだ。 なのに、こいつときたら意味の分からないことを繰り返すばかり。 「そうと分かれば、もっとキスさせて」 「ちょっ、ちょっとバカ!なに意味の分からないことを言っているのよっ!」 もう二度とさせるものか!! キスしようと詰め寄ってくる彼の身体を必死に押さえ付ける。 「仕方ないだろ!?気付いたらこんな状況で、なぜかキスするってことしか記憶にないんだから」 「はぁ!?」 いよいよ危ない人決定だ。 変態を通り越してヤバイ人すぎる。 「いい加減にして!」 「そうはいくか!こっちは必死なんだ!!」 「それを言ったら、私だって同じよ!!」 なにが悲しくて名前も知らない男にキスをされなくちゃいけないのよ! ......ん?ちょっと待って。 私......キス、されちゃったんだよね? ふと頭に浮かぶのは例の我が家の掟。 “初めてのキスの相手と生涯を共にすべし” ってことは......!! 「ぎゃー!!」 「わっ!?なっ、なんだよ!」 急に大きな叫び声をあげた私に、彼はオーバーに驚き、咄嗟に私から離れた。
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