第一話 『どうして私にしか見えないの!?』

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彼から視線を逸らすことなく、ジッと睨み付けていると、頭上から信じられない言葉が飛び出してきた。 「それにしても美鈴ってば一体どうしちゃったわけ?急に車道に飛び出すなんて」 「えーー?」 急にって......当たり前じゃない。彼を助けるためよ? 「飛び出したかと思えば、反対側の歩道にダイブしちゃうし。......なにかあったの?」 「なにかあったって...」 信じられない言葉に、ゆっくりと優里亜から身体を離し、不思議そうに私を見つめる優里亜の顔を、まじまじと見つめてしまった。 どういうこと?まさか私をからかっているの? だって見えていたでしょ?道路の真ん中に寝そべる彼の姿が。 あんな場面を見せられてしまったら、助けないわけにはいかないじゃない。 なのに、どうして? 優里亜からゆっくりと視線を彼へと向けると、なぜか彼は悲しそうに笑っていた。 その哀愁漂う笑顔からは、諦めにも似た様子が伺える。 次の瞬間、大きくドクンと音を立てて高鳴り出す胸の鼓動。 次第にスピードを増す高鳴りに、呼吸をするのが苦しい。 優里亜の言動に、彼の表情。さっきまで彼は頭のおかしい人だとずっと思っていたけど、まさか......。 ある考えが頭をよぎった時。 「美鈴?なによ、そっちばかり見つめて。遠くに誰か見えるわけ?」
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