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駅が近づく中、足を止めると彼も足を止め、不思議そうに私を見つめてきた。
「どうかしたのか?」
全然一般人と変わらない彼。
うちの学校の制服を着ているし、そこそこ......いや、けっこうイケメンだし。なにより......。
不思議そうに私を見つめる彼の腕をがっしりと掴むと、彼は身をよじらそる。
「なっ、なんだよ急に」
ほら。ユーレイだって言っているくせに、こうやって普通に触れられる。
普通ユーレイって実体がなくて例え姿が見えたとしても、触れられないものじゃないの?
彼の腕を掴んだままグルグルと頭の中で考えを巡らせていると、長い腕を生かして彼に肩をがっちりと掴まれた。
「えっ、なに?」
すぐに顔を上げると、近づいてくる彼の顔。咄嗟に手が出てしまい『バチンッ』と気持ちいい爽快な音が響いた。
「いって!!」
「あ......」
咄嗟に出てしまった手。
加減することも忘れ、力任せに叩いてしまったせいか、彼はすぐさま私から離れると両手で叩かれた頬を押さえては、恨めしそうに私を見つめてきた。
「いってぇーな!なにも本気でぶつことはないだろ!?キスくらいさせてくれよ!」
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