693人が本棚に入れています
本棚に追加
ちょっと強く叩きすぎちゃったかもしれない。
そんな罪悪感が芽生えたものの、一瞬にしてその気持ちは萎んでしまった。
「ちょっと!なによ、その言い方は!」
挨拶くらい許せよ。みたいな言い方あり得ない!
だってキスだよ?キスって好きな人とする、特別なことでしょ?
なのになんでそんな軽率な行為かのように言えるの?
彼の言葉が信じられなくて、軽蔑にも似た視線を送ると、さすがの彼もグッと言葉を呑み込む。
そして大きな溜息を漏らすと同時に、身体の力が抜けたようにしゃがみ込んでしまった。
「仕方ねぇじゃん。......俺だって必死なんだよ」
頭を抱え込む彼の姿は、余裕をなくし切羽詰まったようにも見える。
もう彼の姿が私にか見えないということは、嫌というほど身をもって理解した。
そして、ユーレイだって話にも謎が残る部分はあるものの、なんとか頷ける。
じゃあ、どうして彼はユーレイになってしまったのだろうか?
うちの学校の制服を着ているってことは、間違いなくうちの高校の生徒でしょ?
でも、どうして道路の真ん中で寝ていたりしたの?
どうしてキスしたの?
キスをしたら名前を思い出したって言っていたけど、それは本当なの?
聞きたいことはたくさんある。
いまだに頭を抱え込むユーレイの彼に。
最初のコメントを投稿しよう!