第二話 『どうしてユーレイになっちゃったの!?』

9/13
前へ
/426ページ
次へ
「悪いけど私にとっては迷惑以外、なにものでもーー.....!」 「分かってるよ!」 私の声を遮るように発っせられた彼の声に、言葉を失う。 「分かっているけど、仕方ねぇじゃん?」 今にも泣き出しそうに表情を歪ませ、小刻みに震える身体ーー。 そんな姿を見せられてしまったら、なにも言えなくなる。 「あんたにとったら、迷惑な話でしかないと思う。......でも俺、嫌なんだよ。このまま自分自身のことが分からず、誰にも気づかれぬままこの世をさ迷っていることが」 叫びにも似た彼の悲痛な思いに、どう答えたらいいのか分からなくなる。 彼の気持ちは分かる。 自分の名前しか知らない中、誰にも気づかれないままこの世に留まり続けているなんて、嫌に決まっている。でも、だからと言って私に出来ることなんてある? キスさせてあげればいいの? いや、それだけは御免だ。 いくらユーレイといえど、好きでもない人とキスなんてしたくない。 それに、ユーレイになってまでこの世に留まり続けているってことは、彼にはなにかやり残したことや、未練があるからなんだよね? それに彼が本物のユーレイなら、このままずっと一緒にそばにいたら、まずい気がする。 生身の人間とユーレイだよ? とりつかれちゃうかもしれないじゃない。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

693人が本棚に入れています
本棚に追加