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ユーレイとかユーレイじゃないとか関係ない。
“キスをしたか、しないか”が重要なのよ、こっちは!!
心の中で大声で叫び、なんとか言葉にするのをグッと堪える。
「まぁ......あんたが協力してくれるんなら、いっか。こうやってあんたとなら話せるし、触れることも出来るんだから」
そう言って眩しいくらいの笑顔を見せた彼に、不覚にも胸がキュンと鳴ってしまった。
いやいやいや!!
ユーレイにときめくとかあり得ないから!ただ彼がイケメンすぎるだけだから!!
必死に自分自身に言い訳をし、なんとか平然を装う。
「んじゃ、そうと決まればさっさとあんたの家に案内してよ」
協力すると言ったら、手のひらを返したように態度が大きくなった気がするんですけど!それに、私は“あんた”って名前じゃない。
イライラが募る中、さっさと歩き出す。
「あっ、おい!待てよ!!」
そんな私の後を当然追い掛けてくる彼。
そんな彼に、足を止め、ゆっくりと振り返りながら言った。
「美鈴」
「......え?」
足を止め、目を見開き驚く彼に再度言い放つ。
「だから私の名前、あんたじゃなくて、美鈴だから」
しばらくの間、一緒にいるんでしょ?
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