第二話 『どうしてユーレイになっちゃったの!?』

13/13
前へ
/426ページ
次へ
なのにいつまでも“あんた”って呼ばれ続けるのなんて、なんか嫌だし! そう思い言ったものの、いまだに驚いたまま立ち尽くす彼に、目が泳いでしまう。 別に深い意味などなく言ったつもりだったんだけど......もしかして、深い意味にとられてしまったのだろうか? それだとすっごく困るんだけど。 「あっ、あのさ!」 目を泳がせたまま、さっきの言葉に深い意味などないって言おうとした時。 「カケル!」 「え?」 投げ掛けられた言葉に彼を見つめると、 さっきみたいに目を細めて笑っていた。 「だから俺の名前だよ。......よろしくな?美鈴」 一気にクシャッと表情を崩した笑顔に、完全にドキッとさせられてしまった。 はっ、反則だよ。 その笑顔で名前呼び捨てにするとか!! いまだにバクバクといっている心臓。 鏡を見ていないから分からないけど、絶対私の顔、いまは真っ赤っかなんだろうな。 鏡を見なくても分かるや。 だって目の前にいる彼ーーカケルは満足そうに笑っているのだから。 もしかして私、判断を誤ったのかもしれない。 でもね、助けてあげたいって思っちゃったの。 今も目の前で満足そうに笑うカケルのことを。 ユーレイなカケルのことをーー......。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

693人が本棚に入れています
本棚に追加