第十九話 『どうして愛しい日々を忘れてしまっていたのだろう』

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「美鈴の友達の高木優里亜です。よろしくね」 ずっと彼女に会いたかった。 だけどいざ会うとなると、躊躇してしまい、せっかく家に来てくれたというのに、あろうことか俺は自分の部屋に逃げ込む始末。 そんな俺を部屋から連れ出してくれたのは、力也だった。 無理に連れ出すのではなく、ただ俺が部屋を出るまでずっとそばにいてくれた。 そんな力也のおかげで俺は無事に彼女と会うことが出来たのだけど……。 自己紹介をされ、笑顔を向けられても、彼女が俺の好きな人って言葉がしっくりこなかった。 だけどひとつだけ確かなことはあった。 彼女は間違いなく、桧山さんの親友だということ。 檜山さんがトイレへ行っている時、気まずい雰囲気を緩和してくれたのは彼女だった。 彼女の専らの話題は桧山さんのことばかりで、いつの間にかあんなに緊張していたのが嘘のように、解れていた。 そして彼女の口から出る桧山さんの話に、終始耳を傾けてしまっていたが、そこであることに気付いた。 ふと力也を見ると、力也の視線の先にはずっと彼女がいて、そして彼女を見る力也の瞳はとびっきり甘くて、そして愛しいものを見るような目だった。
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