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熱い友情、上等だよ。
いまだに可笑しそうに笑い続ける力也。
ふと高木さんを見つめる力也の表情を思い出す。
力也は本当に高木さんのことが好きなんだろうな。
なのに、俺が記憶を失なっちまったせいで今までずっと遠慮していたんだろ?
俺達、もうそろそろ卒業で接点がなくなっちまうのに。
もしかしたら本当に力也が言うように、俺は高木さんのことが好きだったのかもしれない。
でも、どうしても今はそんな気持ちにはなれない。
俺には高木さんは恋愛対象には見えないんだ。
「なぁ……」
「なんだよ」
ぶっきらぼうな可愛げのない返事が返ってくる。
そんな力也に素直な気持ちを伝えた。
「力也、高木さんのことが好きなんだろ?頑張れよ」
「――え?……でもお前だって……」
「だから遠慮はいらねぇって。……もし、俺が高木さんを好きだったとしても、遠慮なんてして欲しくない。……力也には幸せになってもらいたし、頑張ってもらいてぇんだよ」
「翔……」
言葉全てに嘘なんてひとつもない。
どれも全てが本心だった。
幸せになってもらいたし、頑張って欲しい。
あんなに好きなら尚更だ。
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