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「応援しているから……。だから頑張れ」
ダメ押しと言わんばかりに言うと、力也は急いで視線を落とし「バカ野郎」と暴言を吐いてきた。
だけどずっと下を向いたままの力也は、泣いているようにも見えて、俺の心を熱くさせた。
程なくして母さんが買い物から帰ってきて、力也は帰っていった。
事故に遭う前と同じように母さんと食事をして、他愛ない話をして部屋へと戻るものの、つい思い出したかのように頭に浮かぶのは、桧山さんのこと。
夜になってこうやってベッドに横たわっても、頭に浮かんでしまう。
俺にとって桧山さんはどんな存在なのだろう。
事故に遭う前の俺にとって桧山さんは、どんな存在だった?……好きな人の友達?
それとも――……。
「いって……」
襲ってくるのはいつもの頭痛。
高木さんと会っても話しても、頭痛なんて起こらなかったのに。
どうして桧山さんのことを考えると、頭が痛くなるんだ?
どうして思い出させてくれないんだ?
こんなにも早く思い出したいのに……。
「かっこ悪……」
両腕で顔を覆うと、ポツリと言葉が漏れる。
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