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空を見上げれば真っ青な青空が広がっていた。
九月も中旬。
だけど暑さは収まることを知らないのか、いまだに暑い毎日が続いている。
「今日も暑くなりそう」
眩しい太陽に目を細めつつも、学校へ向かうため一歩踏み出した。
桧山神社は昔からある由緒正しい神社らしく、その伝統を両親はもちろん、おじいちゃんがとくに大切に思っている。
男だろうが女だろうが、桧山家に生まれた者は無条件に継ぐことになっているみたいだけど、私はごめんだ。
だって好きでこの家に生まれてきたわけじゃないし、私には伝統を受け継ぐとかどうでもいい話だし。
……第一、イマドキ信じられない掟というものがある。
「美鈴ー!!」
最寄駅が見えてきたとき、私を呼ぶ声に足を止め振り返ると、やっぱり声の主は親友の高木優里亜だった。
「おはよう、優里亜」
「おはよう!」
可愛らしい笑顔が印象的で、比較的サバサバしている性格の彼女、優里亜とは小学校時代からの仲で、気心が知れており、お互いがお互いのことをなんでも知っている仲でもある。
もちろん、我が家の事情も。
「朝から汗掻いているけど……なに?またおじいちゃんと朝からバトルしてきたの?」
「まぁね」
駅に向かいながら交わす言葉も、最近ではマンネリ化しつつある。
それというのも、全ておじいちゃんのせいだ。
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