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「でもさ、家族にバレていないんでしょ?好きな人がいるってこと」
「当たり前じゃない。第一完全に私の片思いだし。……実るかさえ分からないしね」
高校に入学して早半年以上――。
同じクラスの挨拶を交わす程度の彼――、木村大翔君。
今、私が気になっている人。
「もっと積極的に話し掛ければいいのに」
「それができたら苦労しないよ」
優里亜は分かっていない。
気になる人だからこそ、なかなか声が掛けられないってことを。
「前にも言ったけどさ、ぶっちゃけ木村君と無理矢理にでもキスしちゃえば?そうしたら木村君と結婚できるんだから、事故を装ってキスしちゃえばいいじゃない」
「ちょっと優里亜?それ……冗談よね?」
「さぁ?」
シレッととんでもないことを言ってのける優里亜に開いた口が塞がらない。
そんな話……全然シャレにもならない。
事故を装ってキスするとか!
「第一さ、仮にキスして結婚ってなったとしても、木村君に気持ちがなかったら意味ないじゃない」
「まぁ……それもそうね」
そうだよ。
相手に気持ちがないのなら、全く意味がない。
付き合うとかキスする……とか。そういうのってお互いの気持ちがあってのものでしょ?
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