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[結構日常だったりする]
「何してるんですか?バドルさん…」
「日向ぼっこだ」
数枚の書類を手にリリカはバドルの元に訪れたが、もう少しで枯れてしまいそうな木に寄りかかりながら空を仰ぐバドルの姿にリリカはわかりやすく顔をしかめてみせた。
汚染された大気のせいで日光がうっすらとしか届いていないというのに、何が日向ぼっこなのだろうか…。
「お前も来い」
「嫌です」
はっきり、バッサリ言うリリカにバドルは顔には出さないものの尾が寂しげに垂れる。
「バドル大佐さーん」
自分を呼ぶ声にバドルが顔を向ければ可愛らしい格好をした少女…いや女性がこっちに向かってくる。
「カノン」
容姿は少女そのものだが、リリカと同じエゾキタの中佐だ。
「日向ぼっこ中ですか?お好きですね~」
「あぁ。お前も来るか?」
「遠慮します」
やんわりと断られ、今度は耳が垂れる。
「あ、カノンさん。ちょっと手伝ってほしいことがあるんだけどっ」
「いいですよ、行きましょうっ」
リリカとカノンは二人仲良く喋りながら何処かへ行ってしまった。
俺に用事があったんじゃないのか…?
そんな疑問を抱きつつ、バドルは視線を空に戻す。
「………」
残る記憶ではこの空は綺麗な透き通る蒼だったそうだ。
「そんな空の下で寝れた気持ちいいだろうな、」
重くなる瞼にバドルは静かに目を閉じるのだった───。
end.
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